■ゲーム市場の背景
ゲーム市場の魅力とはなんでしょうか?
ゲーム市場は、他の市場、例えば教育市場や金融市場と比べると、人の生活に必ずしも必要のあるものではありません。
しかし、この「必要性」は徐々に高まってきています。
人々の生活は、徐々に余暇時間が多くなってきています。
農業革命で食べ物を蓄えるようになり、産業革命で機械が人の代わりをするようになりました。
そして情報革命で、人々は苦労することなく、多くの知識を得られるようになってきています。
この流れで、人々はどんどん働く時間を短くしてきています。
要するに余暇が増えてきているのです。
それにより、人々はどうなったか?
「退屈」になってきているわけです。
■余暇をどう過ごすかの答えとしてのエンタテインメント「ゲーム」
この退屈をどう埋めていくか?
どう、人生を意義のある、満足する時間で埋めていくか? これが情報革命以後の時代での、人々の命題になってきているのです。
その命題の答えとして、旅行、語学、スキルアップ、各種アクティビティ、サークル活動などなど、多くの提案があります。
その命題の答えのひとつとして、エンタテインメント、「ゲーム」があるわけです。
ゲームをプレイすることそのものに、なんら生産性がないという人もいます。
ただの暇つぶし、という人もいます。
しかし、人は成人し大人になるまで、自分の目的や目標がまだあいまいな、モラトリアムな期間(猶予期間)を経て、大人になりますが、この期間は、人が成長する上で必ず経過する期間です。
この間に、少年や少女は退屈を埋めるために、エンタメに触れ、ゲームに触れ、物語に触れます。
ゲームを含むエンタメには、「ヒーローとはどうあるべきか」「人はどうあるべきか」など、製作者が考える「大事なこと」が、作品性として盛り込まれます。
「世界に照らし合わせた、よい人の在り方」を盛り込むことが、多くの人に賛同され、共感を呼ぶからです。
また、単純に自分の能力を競うようなパズルゲーム、頭を使うゲームは、「目標を達成するために努力する」という挑戦性があります。
ゲームをプレイすると物事の解決能力が高まる、という研究結果もあります。
また映画などでは、「作品に衝撃を受け、自分の人生が変わった」という人も大勢おり、自分の人生の方向性すら変えられた、という人もいます。
エンタメは、ただ単純な作業を繰り返すだけでは単なる暇つぶしかもしれませんが、それだけでは作品たり得ないわけです。
多くの人から求められなければ、ゲームで食べていくことはできませんから、製品としての価値、作品としての価値を高め、よりよい影響を与えようと製作者は切磋琢磨することになります。
ゲームが用意した壁に対する挑戦性、作品性から感じる衝撃、コミュニケーションの楽しみ、そうした、人生に与える生産性がゲームにはあります。
余暇が多く、退屈が増した時代に、ゲームは手軽に人生に生産性を与える媒体として存在しているわけです。
■他の市場との比較
とはいえ、ゲームは人の人生に必ず必要かというと、必要ではありません。
なくても生活することができます。
衣食住に含まれない市場です。
その意味では、産業としてはサービス産業になり「生活を彩る産業」に分類されます。
ただ前節の通り、余暇が多くなってきた現代において、ゲーム市場はその存在感を増してきています。
時代の要請により、ゲーム市場は生まれたわけです。
今後の産業は、余暇をどうするかの提案をし、人の人生をいかに充実させるか? より豊かにするか? ということに、重点を移していくはずです。
より価値の高いゲームを作ること…人々の生活に充実やよい変化を与えること…これが今後のゲームの命題となっていくでしょう。
■余暇時間への提案としてのゲームの強み
ゲームは、常に手元にあります。
ゲームは、人々との生活とともにあります。
スマホの中に常に入っているからです。
この意味で、ゲームはほかの市場と比べて、非常に優位なポジションを持っていると言えます。
また、ゲームは人々の生活にフィットするよう、1回のプレイが数分という設計をすることも可能です。
非常に身近で、手軽で、年齢層を問わず、言語的壁もない「余暇時間への提案」なのです。
これが、ゲームへの評価を高めている理由です。
人々の生活にフィットするようにし、なおかつ、人々が求めるコミュニケーションや特別感、感動といった要素も盛り込んでいく。
こうした設計をすることで、ゲームはより高い価値を持つようになります。
■売れるゲームとは?
どんな市場でも、爆発的に売れるものとは、その時々にある「トレンド(勢いのある流れ)」と、今までにない刺激、快感、体験となる「新規性」が合わさったものになります。
それに内容の完成度、ディテールの合格点が加わり、はじめてヒットする準備ができたと言えます。
どんなヒットでも、なにもないところからポッと生まれることはありません。
かならずそれまでのコンテキスト(文脈)があります。
例えば、ファミコンのスーパーマリオの大ヒットは、ゲーム機という新しいトレンド、それにゲームデザインのトレンドが合わさって生まれました。
ゲームデザインで言うと、ゼビウスのソルという隠れキャラのトレンドから始まっています。
「隠れキャラ」というゲーム要素のトレンドは、ゼビウスから始まり、ソンソン、エグゼドエグゼス、などのシューティングゲームに引き継がれ、パックランドで隠しキャラがゲームシステムとして取り入れられた流れがあります。
スーパーマリオはそれをさらに昇華し、ゲームの内容そのものに多くの秘密、隠しキャラ、隠しブロック、隠し部屋などが取り入れられ、大ヒットにつながったのです。
このように、市場のコンテキスト、トレンドを捉え、革新という新規性で、より高い刺激と話題性を作ることで、多くのヒットは生まれています。
■今後の時代展望とトレンド
ゲーム市場は、これまでゲーム機というハードウェアのグレードアップにより、より多彩な色使いによる見た目の向上、処理速度の向上による3Dゲームの発展、ゲームのスマホアプリ化によるリーチできる人の拡大など、節目を多く迎えてきました。
ではこの2018年以降、どんな展開を迎えていくのか?
それは、今現在確定している、大きな世の中のトレンドを捉えていくことによって見えてきます。
●5G対応の大規模/小規模ネットゲームの発展
2019年には、モバイルネットワークの5G対応が控えています。
これにより、ラグ(遅延)が少なく、さらに規模を大きくしたネットワークゲームの発展が期待されます。
ネットワークゲームは、今はMMORPG(大規模マルチプレイヤー対応ゲーム)やFPS(一人称視点のシューティングゲーム)、フレンドバトルなどが含まれたソーシャルゲームが発展していますが、5G対応により、さらにこの流れが加速するでしょう。
また、小規模なネットワークゲームも、開発環境の改良により、より多様なネットワークゲームが出現し、そのうちのいくつかはより大きな規模のゲームへと昇華されていくことになります。
新しいゲームジャンルが発生し、それはより多くの人を巻き込んだ、新しい市場へと発展していくことが予想できます。
●仮想通貨ゲームの台頭
ブロックチェーン技術は、世界の金融市場を急速に変化させる可能性を持った技術です。
資本主義を破壊する可能性もあり、既得権益者はこの流れにブレーキをかけざるを得ない状況になっています。
そこで、ブロックチェーン技術はゲームなどの安全・安心な市場に流れ、「金融市場+ゲーム」という、新しいゲームの流れを生み出しています。
プレイヤー同士でキャラクタやアイテムを交換してもらい、プレイヤー自体が利益を上げられるようになっており、これがプレイへの大きなモチベーションになっています。
運営は、交換の手数料をもらうので、ゲームが流行れば流行るほど利益を上げられるしくみになります。
ゲームの上で、生活できるほどの利益を上げられるような、「ゲーム上での社会構造」を作ることができれば、その会社は莫大な利益を生み、さらに人々の生活を一変させるような現象を生み出すことができるかもしれません。
ゲームは、仮想空間を舞台としているので、「新しい市場」を創造できる場とも言えます。
よくできた仮想空間世界は、資本主義社会を徐々に破壊し、現実世界を飲み込んでいくものとなるでしょう。
●AI
ゲームとAIの相性は実はばっちりで、FPSやMMORPGにAIのbotを採用すれば、プレイヤーがたくさんいなくても体験できる「大人数プレイ」ゲームができあがります。
また、チャットbotがAIにより高度になれば、プレイヤーがいなくても「コミュニケーションに満足できる」ゲームの市場が出現してきます。
音声によるコミュニケーションも、AI音声botが出現すれば、プレイヤーが介入せずとも、「会話を楽しめる」ゲームができあがります。
今のところは、これらを実現するミドルウェアの出現が待たれるところですが、こうした新しい市場を最初に開拓したところは、莫大な利益を上げることができるでしょう。
■新しいゲームの提案
では、より具体的な「今から開発する、今後の新しいゲーム」の提案とは、どういうものか?
提案資料へと続きます。
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