よく、「人は今しか生きられない」って言うじゃないですか。
これって単に文章として読むだけだと「そうだよね」くらいの同意で終わるわけです。
でも、非常に深い、実感できる意味が、実はあります。
少し掘り下げてみましょう。
今しか生きられないとは、未来にも過去にも生きられないということ。
いや、未来や過去に生きるようなことは実際できるわけです。
将来のことを不安に思い、まだ経験していない先のことばかり考える。
過去の過ちを振り返り、落ち込む日々を過ごす。
これは未来や過去に生きているようなもので、今を未来や過去で塗りつぶしているわけです。
もちろん、これらは「よくないこと」であって、逆に「よいこと」、つまりよい未来や過去を今に持ち込むこともできる。
でも、どちらにしろ、これらは「今を作り出していない」わけです。
では今を作り出すとはなにか?
ここから本題に入っていくわけですが、人は自分の人生を作り出すということにおいて、「今」をどう過ごすかが重要になります。
今の連続、積み重ねが、私やあなたの人生になるからです。
具体的に言うと、「今どう在るか」。
これが、自分の人生がどういうものなのかを決定します。
どういうことか?
例えば、僕は「どうしてあなたはいつもそんなポジティブなのですか?」と聞かれることがあります。
答えを先に言えば、「それはポジティブで在ろうとしているから」です。
そうすると、「ポジティブでいることができません」と返ってきたりします。
いや、できませんとか、そういうことじゃないんです。
それは「ポジティブになろうとしていない」だけなのです。
「ポジティブで在る」を、今すぐしてください。
「ポジティブな存在に、今、なってください」なのです。
わかりますでしょうか?
誰しも、今、何者かなのです。
ポジティブになりたいのであれば、今、在ればいい。
在る? 在る、とは? そう思ったでしょうか?
在る、とは、今そういう存在である、そう存在する、ということです。
在る、という言い方で理解が難しいのなら、「振る舞う」でもいいです。
ポジティブな自分を今、振る舞ってください。
人は実は、何者でもあるのです。
誰にでもなれます。
ただ、振る舞えばいいのです。
だんだんと宗教チックな話に思えてきたと思います(笑)。
しかしこれはまだ哲学的な話にすぎません。
人は、過去の自分を知っていますから、その連続で「今」を在ろうとします。
しかし、過去の自分と、今の自分に、実はなんの連続性もないのです。
「あれ? 新田さん、あなたってそんな明るい人間でしたっけ?」みたいに言われるくらい、めっちゃ明るく振る舞うことも可能なわけです。
そして、信念さえ固まっているなら、そのめっちゃ明るい自分で、このままずっと過ごしたっていいわけです。
そのうち、その明るい自分のほうが定着し、まわりからの評価や印象も定着し、そういう存在になってしまう。
「今、どう在るか」を自分で決定して、その通りに生きることは可能なのです。
「GANTZ」って漫画の最初のほうに、加藤っていうキャラがいるんですが、彼は「自分はこうあるべきだ」ということを決めて行動しているシーンが、いくつか出てきます。
ヤクザみたいな人に女子が襲われそうになっているとき、加藤は「…よし」と覚悟を決めて、ヤクザを止めに入るわけです。
このとき、加藤はおそらく「自分は勇気を持つべきだ」という信念に従って行動し、実際、勇気のある人間になっています(在っています)。
これが積み重ねられれば、加藤は実際勇気をすぐに出せるようになり、まわりからの評価も「加藤は勇気のある人」に変わっていくでしょう。
人は、「どう在るか」を自分で決定し、実際にそう「在る」ことができます。
これは、アイデンティティ(自己同一性)の問題です。
人は、どんな自分にもなれると先に書きましたが、例えば
「自分は机に座ったらすぐに仕事に取り掛かる人間である」とか
「自分は怒らず、人の話をよく聞き、理解してから理解する人間である」とか、先に決めておくわけです。
そうしよう、と自分の約束、信念にする。
そしてそれを守るわけです。
いきなりバーンとなりたい自分になるには、過去の自分が抵抗を示したりしますので、少し「慣れ」が必要ですが、そういう行動を積み重ねるほど、もうそうなっていくわけです。
自分がどう在るかは、イメージがあればことたります。
例えば、あなたは「戦士」にどういうイメージがあるでしょうか?
屈強で、諦めず、忍耐強く、真剣で、プロ。
そんなイメージがある中で「俺は戦士だ」と、今、在ってみましょう。
どうでしょうか? 「俺は戦士だ」とこころの中で唱えるほど、戦士のイメージに近づくように表情に厳しさが入り、眼力が強くなり、胸を張る姿勢に変わってきませんか?
そしてマインドも、そうした表情、体の動きをすることによって、だんだんと戦士らしく変わってきます。
「絶対に諦めねえ」「絶対に負けねえ」そういったマインドになってきたはずです。
「戦士」だけでなく「王様」ではどうでしょうか?
また「恋人」はどうでしょうか?
人は「自分はこうで在る」「こういう存在である」とイメージすれば、だんだんとそういう人に近づいていきます。
今この瞬間の力が、ここにあります。
どういう自分になりたいか? それは振る舞いを変え、自分のイメージを変え、自分の在り方を変えます。
在り方が変われば、生活が変わり、読む本が変わり、毎日のルーティーンが変わり、つきあう人が変わります。
そうすると、収入が変わり、影響力が変わり、作るものが変わるわけです。
「自分はこういう人間だから」という人がいますが、それは「今までこうしてきたからそう振る舞っているのが楽」なだけで、実際は変わりたくないだけです。
自分がどういう人間かは、今この瞬間から変えられます。
そして、変わっていくしか、よりよい未来に近づくすべはありません。
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