ヒットゲームの考察 2019/01/31

どうやって作ったゲームをヒットに持っていくか?

これは僕のライフワークでもあるわけだけど、作ったゲームといったらダウンロードされないものが大半だった。

なにか、根本的なミスを犯しているのは明らかだ。

唯一、mixiアプリでめちゃくちゃ評価されたのが、「アーチャーズ」というゲームだ。
1万人以上にプレイされて評価が4.5。
10点満点評価だと9という評点だ。

攻略コミュニティまで作られて、「朝までハマった!」というコメントが書き込まれて、思ったような結果が出せたゲームであった。
これは今でも遊ぶことができる。
http://mixi.jp/run_appli.pl?id=15332
http://n2-games.com/_userdata/archers/

アーチャーズ

しかしだ。プロというのは一発屋ではだめで、毎度、高い評価を得られなければならない。

そのためのノウハウを蓄積していて、それを使うことで、面白いゲーム、大衆が高い評価をつけるゲームでないとクリエイターとして評価されないと思っている。

僕はゲーム企画を初めてもう35年は経つ。
目立った結果を出さなければならない。
「世界的なクリエイターになる」
という恐れ多い目標を立てているが、それを実現しなければならない。
人生は短いからだ。
宮本茂を超えなければならない。

なにがミスなのか?

一度、ヒットする方法論を確立して、それをまとめたわけだが、それ通りにすると、確かに面白いゲームを作ることはできる。

ゲームはテクノロジーの塊であり、人の心理を把握していれば何時間でも引っ張ることができる。

しかし、それだけではヒットはしない。
なぜなら、「プレイされなければはじまらない」からだ。

ゲームは基本的に、生きるのに必要としないものだ。
嗜好物にすぎない。
なくたって、生きていける。

そんな中で、どうやってゲームをプレイしてもらうのか?
「面白いゲームを作れば売れる」
そんな時代はとうの昔に終わってしまった。

状況としては、ゲームは供給過多になっている。

誰でもゲームを全世界に公開できるようになった代償として、猛烈な競争の中にさらされることになったからだ。

もちろん、9割がたは箸にも棒にもかからないゲームであることは確かだ。

しかし残り1割であっても、供給過多なのだ。

プレイヤーは、この何千何百のゲームの中で、面白いゲームを見つけなければいけない。

結局、ランキングや話題のゲームとしてフィーチャーされたゲームだけが生き残るという、完全に「資金のあるところが強い」「運任せ」「レビュアーの嗜好」に左右されるという状況に陥ってしまっている。

これらの状況に合わせてゲームを作るということも方法論としてはありだろう。しかし、それで自分の好きなものが作れるのか? というと、まず作れない。

じゃあどうすればいいのだろうか?

市場ライフサイクル

「ヒットとはタイミングだ」という話がある。

僕はマーケティングについてだいぶ勉強してきたが、その中で、「ヒットの生まれやすい時期」というのは、確かにある。

逆に言うと、そのタイミングでユーザーの気持ちを掴むことに成功すれば、あとは独占状態、勝ち組に入れることが確かになる。

かつてのゲームメーカーであるナムコやカプコン、スクウェアやバンダイなどは、こうした勝ち組に入ったメーカーだ。

勝ち組に入った企業は、ぐんぐんと大きくなる。

なにをやっても入れ食い状態で、出せば売れるというような状態になる。

毎日が777の状態だ。

毎日100万円が稼げた時代

かくいう僕も、ゲーム業界ではないが、ネットビジネスの市場でこの777状態を体験した。

1999年の初頭、僕はゲーム会社に嫌気がさして独立しようとしていた。

そんな中で企業に頼らずにゲームを作るにはどうしたらいいかを模索していた中、「金持ち父さん貧乏父さん」という本を読み、「起業して自分でお金を稼ぎ、それでゲームを作ればいい」という道があることを知る。

そこではじめたのがネットビジネスだった。

インターネットが世界中に広まり、ライブドアや楽天が日本のインターネットEC市場に台頭してきた時代。

個人でもネットで毎月100万円稼げるということが、アメリカ経由で日本に広まった。

いわゆる「情報起業」というやつだった。

今でこそ、情報起業は怪しい、詐欺が多いなどという世間の認識が広まってしまった状態だが、当時はただ「これで自分で稼いでゲームを作るぞ!」ということが頭の中にあるだけだった。

ネットビジネスの市場は、市場ライフサイクルでいう「導入期」であった。

市場ライフサイクルは、市場が生まれてから、衰退するまでを以下のフェイズに分けて説明する。

1・導入期 市場が生まれ、まだ一部の人しか知らない状態
2・成長期 市場が成長しだし、多くの人がこぞって参入する時期
3・成熟期 市場が成熟し、企業が最高益を記録するほど、加熱した時期
4・衰退期 加熱した市場に規制が入り、熱を失い、大手だけが稼げる時期

導入期には雨後の筍ように「起業家」がたくさん生まれ、その中で実力のあるものが残っていき、勢いのある人は年商で1億を売上ていた。

個人に訪れた「アメリカンドリーム」ならぬ「ジャパニーズドリーム」のチャンスであった。

実際、僕は情報起業によって2年で1.2億を売り上げた。
ここ10年の話で言えば、トータルで個人で5億は作ったと思う。

新しい「商品」を販売すれば、毎日100万円を売上げ、まさに「濡れ手に粟」の時代だった。

「タイミングに乗った」時代だった。

この資金をもとに、無料ゲームサイトを作り、アメリカにあった無料ゲームアップロードサイト「コングラゲイト」を、日本に持ち込もうとした。

が、作ったサイトのデザインが悪く、修正しようとしている間に「流れ」が変わってしまった。

「スマホ」時代の到来である。

当時、「市場ライフサイクル」を知らなかったがために、スマホの波に乗らず、ただネットビジネスでチャンスをつかもうとしていた。

しかし、ネットビジネスの市場ライフサイクルは非常に短いものであった。

ものの10年で、ネットビジネスは勢いを失い、一部の「勝ち組」のためのものになってしまった。

市場ライフサイクルの用語で言えば「衰退期」に入ってしまったのである。

衰退期で稼げるのは、導入期で稼ぐことができた顧客をたくさん抱えたところであり、いわゆる「残存市場ビジネス」で食っていけるところである。

コンシューマゲームの衰退

コンシューマゲームも、今は衰退期である。

衰退期に残存市場で食べていけるのは、導入期に稼げた会社だけ。

つまり、コンシューマはスクウェアエニックス、カプコン、ソニーインタラクティブエンタテインメント(SIE、元SCE)、SEGA、などでしかない。

通常、市場ライフサイクルが衰退期を迎えてしまえば、自然淘汰が始まる。

ゲーム業界も、かつてはたくさんの企業が我も我もと参入していたが、今は残っているのは数社である。

どんな市場も市場ライフサイクル上では、最後には衰退期になる。

かつての自動車業界、航空業界も同じで、導入期には何千何百もの会社があった。

しかし生き残ったのは、あなたも知っているように数社しかない。

生き残るために波を乗り換える

企業が、毎年の利益を維持しながら成長曲線に乗るには、残存市場だけで勝負してはいけない。衰退する市場にすがっていても、得られる利益はたかがしれているからだ。

成長するには、「新しい波」にチャレンジし、その波をつかむことである。

音楽業界がネットの出現でCDが買われなくなり、変化を余儀なくされている。

出版業界も同じだ。新聞業界もそう。ネットで情報を得られるのに、誰も新聞を買おうとは思わない。

成長するなら、シニアを対象とした残存市場にすがっていてはいけない。変化へのチャレンジが必要だ。

ゲーム業界も、コンシューマゲームからスマホゲームに波を乗り換えなければいけない。

今、スマホゲームは成長期に入っている。
市場ライフサイクルの段階の変化には、必ず「象徴的な出来事」が起こる。
任天堂のスマホ市場への参入は、スマホゲームの市場ライフサイクルが、成長期に入った象徴的な出来事だろう。

マリオがワンキーゲームになったのは、個人的には非常に複雑な気持ちであった。コンシューマゲームの複雑な操作は、それだけ人の「機能快」、つまり頭や指を限界まで使ったときに感じる快感を引き出していた。

それが、シンプルなゲームしか表現できなくなったスマホゲーム上で、マリオも時代に合わせてシンプルなゲームになってしまった。
これは、得られる快感に上限ができてしまったということだ。

僕から言わせれば、ゲームの面白さの可能性は、ここで塞がれてしまったものと同じである。

ただし、これまでの方法論で言えば、の話であるが。

「新しいゲームの面白さとはなにか」を模索する時代

スマホ時代になり、ゲームはシンプルなゲームにせざるを得なくなった。

この状態でも、バーチャルパッドなどで「コンシューマ風」な操作で頑張っているところもあるが、やはり精細な操作にはスマホは不向きだ。

「PUBG」はそのためかスマホ移植を見送り、なんでもありの中華ゲームに遅れを取ってしまった。「荒野行動」は非常に若い層にヒットしたようだが、これについては、今の時代らしい、スマホで複雑な操作を乗り越えるだけのヒット要因があると考えている。
が、これについては長くなるのでまたの機会に。

ゲームは、処理能力や、ハードウェアの進化によって変化してきた流れがある。

特に、ハードウェアの変化で、大きくその様相を変えてきた。

そして、ヒット作もこのハードウェアの変化からうまく面白さを引き出したものが、多く出ていた。

コンシューマでは、ハードの表現力アップによる、3D表現の臨場感アップが、最も大きい変化であった。ではスマホ時代の今では、なんだろうか?

スマホにおいて、3Dによる臨場感の表現は限界がある。
それは、据え置きのコンシューマ機の最も得意とするところであったが、ハードが小型化されたことによって、そこまでの表現力を出せなくなってしまった。

今の時代のハードウェア環境特性は、全く別ところにあり、そこから新しい流れが生まれようとしている。

「スマホ」はまだ成長期であり、このフェイズはまだこの先長く続くだろう。

その中でのハードウェア環境の変化は、以下がトレンドとしてある。

1・5G環境

4Gの次の世代。要するにネットワークの通信速度が劇的に速くなり、短い時間で大量のデータが送信できるようになるということだ。

これが可能になれば、今の100人同時対戦ゲームの桁を変えた、大量の人数でゲームをすることができる。

「速さ」の変化は、ゲームに多様な変化をもたらすだろう。

2・AI

世間で言われているところのAIは単なるアルゴリズムであって、これは今までのコンピュータ利用法とあまり変わらない。

AIの本質は「機械学習」または「深層強化学習」であり、もっと言うと「計算知能」になる。

「機械学習」は、人間が無意識下で行っている学習の模倣であり、人間に近い思考をシミュレートできる。

「計算知能」は、脳細胞の動きから脳の動きを模倣しようというもので、実用はもう少し先になるだろう。

「機械学習」「深層強化学習」はアルゴリズム的にも簡素で、ちょっと複雑なものでも個人でできるレベルである。このレベルのAIがゲームに利用されれば、さらに人間くさいゲーム、もしくは人間を超えた相手とのゲームを楽しむことができるようになる。

3・ネットワーク

ネットゲームはソシャゲなど課金率のいいゲームに終止しているが、ジャンルとしては始まったばかりだ。

さまざまな形式のゲームが、未だ試されていない。
コンシューマゲームはひとり用のゲームが基本だったが、ネットが当たり前になった今の時代に、これまでにはなかったジャンルが生まれる可能性がある。

ネットゲームの多様性は、未だ開かれたばかりだ。

4・SNSとの融合

コンシューマゲームの衰退は、SNSの台頭と時を同じくしたと考えている。
SNSによる人相手の楽しさほうが、ゲームの楽しさを軽く超えてしまうのだ。

であれば、SNSとゲームを融合させる道が残っている。
LINEゲームは、その基礎となる方法を、友達ランキングなどで示している。
SNSとの融合はまだまだ始まったばかりであり、広く多くの人を参加させ、交流させるゲーム、または深く狭い人たちがコミュニケーションするゲームも、まだまだ出揃っていない。

さらに集客装置としてのSNSの活用も、ゲームではまだまだフロンティアだ。
ゲーム制作からSNSでユーザーを参加させれば、参加した人は必ずそのゲームをダウンロードする。

1000人、1万人の人をゲーム制作に参加させたら、彼らはゲームが出たときに必ずツイッターでRTするだろう。

5・ブロックチェーン技術

ブロックチェーン技術は、ゲームとの親和性が低いと考える人が散見されるが、個人的にはそうは思わない。

ブロックチェーンに乗るのは改ざん不可能というだけで単なる「データ」であり、そこにはいろいろなものを乗せることができる。

プレイヤーデータだけでなく、アイテムデータ、マップデータ、画像データ、音声データ、プレイ履歴データ、などなど、さまざまな種類のデータを乗せることができる。

さらに、データは他人のPCに保存されるので、容量を気にしなくて済む。

こうしたところから考え始めれば、まだまださまざまなアイデアが出てくるはずだ。

ということで、ざっと今後のトレンドとなるだろうところを挙げてきたが、個人的にはネットワークゲーム、SNSとの融合が爆発的なヒットを生むだろうと考えている。

今は、コミュニティの時代でもあるから、「参加していないとヤバい」と言わせるゲームも作ることができるはずだ。

動画配信の時代でもあるから、「配信☓ゲーム」の融合も考えられる。

動画配信自体が非常に生々しく、お金の飛び交う市場でもあるので、ゲームによっては非常に面白いことになるだろうと思っている。

というわけで今回は以上。

なにか感想や意見があったら、コメントをよろしくお願いします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください