こんにちは、ゲームのしくみの新田です。
あなたは「どうすればゲームをヒットさせられるのだろう?」と一度は考えたことがあるのではないでしょうか?
多くのゲーム開発者がこの問いに向き合い、試行錯誤を繰り返しています。
しかし、その答えは決して「運任せ」ではありません。
私が長年研究を重ねてきた結果、ゲームをヒットさせるための「公式」は確かに存在します。
今日はその核心に迫るお話をしたいと思います。
ヒットするゲームには、共通の「型」があります。
この型を理解し、意図的にゲームデザインに組み込むことで、あなたのゲームは間違いなく多くのプレイヤーを魅了し、大きな成功を収める可能性を秘めているのです。
1. 社会心理の側面から攻める!ゲームは「みんながやりたい」が鍵
ゲームがヒットするためには、まずプレイヤーの「やりたい!」という気持ちを強く引き出す必要があります。
これは単なるゲームの中身だけでなく、人間の社会心理に基づいたアプローチが不可欠です。
- 「みんなが買っている」という安心感を作る
人は、他の多くの人が買っているもの、遊んでいるものに安心感を覚えます。
これは「社会的証明」と呼ばれる心理です。
あなたのゲームが「今、最も注目されているゲーム」「多くのプレイヤーが熱狂しているゲーム」であるとアピールできれば、それだけで新規ユーザーの獲得に繋がります。
ナンバーワンであること、話題の中心であることは、それ自体が強力なフックになるのです。
- 「話題性」を意図的に生み出す
では、どうすれば話題性を生み出せるのでしょうか? それは、プレイヤーの「見たい」「やってみたい」という本能的な欲求を刺激することです。
- 「身近な非日常」を取り入れる: 例えば、地震や火事、冠婚葬祭といった、誰もが共有できるけれど普段は経験しないような出来事をテーマにすることで、強い興味を引くことができます。
- 「ゴシップ的要素」や「裏の様子」: 人間の持つ好奇心、特に禁断の情報を覗き見たいという欲求を刺激する内容も、話題になりやすいですね。
- 「希少性」と「限定性」: 「今しか手に入らない」「特定の期間しか体験できない」といった要素は、プレイヤーの行動を強く促します。
- 「返報性」の活用: 最初にプレイヤーに何らかの価値(特典や無料体験など)を提供することで、お返しをしたくなる心理を利用します。
2. 「インパクト」で心を掴む!衝撃的な体験を演出せよ
ゲームの冒頭でプレイヤーの心を鷲掴みにする「インパクト」は、ヒットゲームに不可欠な要素です。
私が「インパクト・メソッド」と呼ぶこの手法は、プレイヤーの記憶に強烈な印象を残し、口コミを生む原動力となります。
- 「思い込み」を打ち破る: プレイヤーの中に「こうなるだろう」という強い思い込み(アンカリング)を作り出し、その予想を良い意味で裏切ることで、大きな衝撃を与えます。
例えば、カプコンの初代『バイオハザード』がその典型です。
初代バイオハザード
- ゲーム開始直後、プレイヤーは「ゾンビは遅い」「部屋のドアを開ければゾンビがいるかどうかわかる」という常識を経験から学習します。
-
しかし、その常識が確立されたところで、突然窓ガラスを破って高速のゾンビ犬が出現する。
これはプレイヤーの「ゾンビは遅い」という思い込みを強烈に打ち破り、大きな驚きと焦りを与えました。
この一瞬の衝撃が、ゲームの口コミを爆発的に広げたのです。
- 『夢工場ドキドキパニック』でも、草を抜くと野菜が出るというパターンを確立させた後、突然ロケットが飛び出すという演出で、プレイヤーを驚かせました。
3. タイトルと説明で「引き」を作る!矛盾や反社会性が光る
ゲームのタイトルや説明文は、プレイヤーがゲームに触れる最初の入り口です。
ここで興味を引けなければ、どんなに素晴らしいゲームシステムも日の目を見ることはありません。
- 「逆説」や「相反する概念」の組み合わせ: 例えば「最終兵器彼女」のような、一見矛盾する言葉の組み合わせは、強い好奇心を掻き立てます。
「逆説のタイトル」も効果的です。
* 「反社会性」や「ダークなテーマ」: 『Plague.Inc』や『デスノート』のように、社会通念に反するテーマや、ダークでスマートな題材は、人間のタブーへの好奇心を刺激し、強い話題性を生み出します。
人類を絶滅させるゲーム「Plague.Inc」
GTAシリーズは反社会性に満ちている。が、世界で最も売れたゲームの1つだ。
人は常識的な生活の中で、非常識で刺激的な世界を求めている。
- 「王道」と「新機軸」の融合: 既存のジャンルや王道的なテーマを踏まえつつも、これまでにない新しい要素や視点を加えることで、新鮮さと親近感を両立させます。
**重要なのは、タイトルや説明でプレイヤーを強く引き寄せ、その上でゲームシステムで彼らを「ハメる」ことです。
** まずは「売れるタイトル」を考えてから、ゲームの中身を構築するという逆算的な発想も非常に有効なのです。
4. 「中毒性」を生み出す!プレイヤーを離さないゲーム内容
プレイヤーを夢中にさせ、時間を忘れさせるゲームこそが、真のヒットゲームです。
これには、心理学的な仕掛けと、洗練されたゲームシステムが不可欠です。
- 水準以上の「グラフィッククオリティ」: 人は、細かく描き込まれた美しいグラフィックに本能的に引き込まれます。
見た目は大事。だが今やアセットストアやAI生成のグラフィックで、
普通のクリエイターでも一定のクオリティは出せるようになった。
シンプルな表現であっても、コンセプトに沿った感情を喚起するシンボル(例えば恐怖を表す「血」や「傷跡」など)を効果的に配置することで、プレイヤーの五感を刺激し、世界観への没入感を高めます。
ゲームの評価はグラフィックの出来に大きく左右されると言っても過言ではありません。
- 「受動的なゲームシステム」で粘り強く: プレイヤーに「意識せずとも継続できる」と感じさせるシステムは、ゲームを長続きさせる上で非常に重要です。
- 「時間待ち」システム: 『LINE POP』のハートのように、時間が経てば回復するシステムは、プレイヤーに定期的なアクセスを促します。
- 「放置育成」や「自動スクロール」: 『アルパカ系育成ゲーム』のように、プレイヤーが能動的に操作しなくても進行する要素は、手軽に継続する動機を生み出します。
- 「一方的なバトル」: 獲物が出るのを待って回収するようなシンプルなルーティンは、プレイヤーに負担なくゲームを続けさせます。
- 「ツァイガルニック効果」で引っ張る: 人間の「不完全なものを完全にしたい」という本能的な欲求を刺激します。
- 「未完成」の提示: 「まだ見ていない素材がある」「全体マップの未踏の地がある」「まだ持っていないスキルがある」といった情報をプレイヤーに提示し、それを埋めたくなる気持ちを掻き立てます。
- 「小・中・大ゴール」の設定: 目の前の小さな目標(小ゴール)を達成すると、次のマップ(中ゴール)、そして最終的なエンディング(大ゴール)へと、プレイヤーを常に引っ張る構造を作ります。
- 「隠し要素」や「謎」: 隠された部屋やアイテムの存在を仄めかし、プレイヤーに探索と解明の楽しみを与えます。
これらはゲームを「宝探し」の冒険に変え、無限の好奇心を生み出すのです。
- 「エスカレート」で緊張を持続させる: ゲームの進行と共に、状況を激化させ、難度を上げていくことで、プレイヤーの集中力と感情を常に揺さぶります。
- 「痛みと快楽の原則」: プレイヤーに「失うことの恐れ」という痛みを与え、そこから克服する快楽を味わわせます。
例えば、ゲームを瀕死の状態からスタートさせたり、一度手に入れた強力な装備を失わせたりすることで、「取り戻す」という強いモチベーションを生み出します。
回復アイテムの出現率を絞ることで、常に緊張感のある状態を保ちます。
- 「拮抗」による集中: プレイヤーの強さと敵の強さがギリギリで釣り合う「レベルコンフリクト」の状態を長く維持することで、プレイヤーは常に集中を強いられ、ゲームから目が離せなくなります。
格闘ゲームで体力が少なくなるとダメージ量が減る仕組みや、麻雀のように運の要素で実力差が埋まるゲームは、この拮抗状態を巧みに生み出しています。
曖昧なヒットポイント表示も、プレイヤーの焦りを掻き立て、緊張感を増幅させます。
- 「カウントダウン」で焦らす: 時間制限や進行中の危険を明確に示すことで、プレイヤーに焦りや緊張感を与え、行動を促します。
- 「報酬」と「コレクション」で継続を促す: プレイヤーが時間をかけた分だけ、目に見える形で報われる仕組みは、継続率を高めます。
- 「レベルアップ」や「アイテム獲得」: これらはプレイヤーにとって分かりやすい成功体験となり、次へのモチベーションに繋がります。
- 「図鑑」や「レアキャラ」の収集: 限りなく多くの種類を用意し、ドロップ率や出現条件を調整することで、プレイヤーは「全てを集めたい」という欲求に駆られ、長くゲームを遊び続けます。
まとめ
ヒットするゲームは、偶然の産物ではありません。
プレイヤーの感情を深く揺さぶり、彼らを夢中にさせるためには、社会心理、インパクト、タイトル、そして中毒性のあるゲーム内容という多角的なアプローチが必要です。
あなたのゲームが持つ「面白さ」の核を、これらの要素と組み合わせてみてください。
必ずや、これまでにない新たな可能性と、大きな成功が見えてくるはずです。
さあ、あなたのゲームを「必ずヒットする公式」に乗せて、世界に送り出しましょう!
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